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医療講演・メディア記事

なるほど健康講座16「スポーツ障害(2)」

大沼 寧 山形徳洲会病院 整形外科部長

前号で慢性の症状を有するスポーツ障害について説明しました。体が発する危険信号が黄色であれば、症状とうまく付き合いながらスポーツを続けることは可能です。ですが、危険信号が赤色に変わったら無理にスポーツを続けると大きな問題を生じることがあります。

陥りやすい疲労骨折

痛みは体が発する危険信号です。危険信号(表1)が黄色から赤色に変わったら、練習を休む勇気を持ちましょう。危険信号を無視して練習を続け、重要な大会の直前に症状が悪化してしまうといったことのないようにしたいものです。
私自身、体の危険信号を無視してスポーツを続けた結果、腰椎(ようつい)疲労骨折や免疫不全による顔面神経麻痺を生じてしまい、大事な大会に出場できなかったという苦い経験があります。
スポーツをハードに行っている方は、休みを取るのも練習のうちと考え、適切な休息を取りましょう。どんな有効な練習より休息がコンディション向上に最も効果的なこともあります。

金属疲労に相当

疲労骨折の例 スポーツ障害を引き起こさないために、そしてスポーツ障害を悪化させないために、体の危険信号に気をつけながら、日々の体のケアを心がけましょう(表2)。
目標の大会で自分の力を最大限発揮するためには、大会に合わせたコンディション作りを進める必要があります。練習に加えて、休息、睡眠、栄養もおろそかにすることなく、すべてが重要であると考えてください。

日常生活に支障も

初期の症状は運動時の痛みだけですが、進行すると日常生活にも支障をきたし、ついにスポーツ活動を断念せざるを得なくなります。
こうなると、スポーツ復帰には長期間を要することになりますので、悪化する前に手を打たなければなりません。

専門医に相談を

疲労骨折が疑われる体の危険信号を感知したら専門の医療機関を訪れましょう。疲労骨折の初期ではレントゲンに変化が現れないこともありますので、レントゲンで異常がなくても活動量を適切に軽減して経過をみていく必要があります。
適切な安静が守られなければ改善は難しく、長期化が必至です。主治医と相談のうえ、やっていいこと、やってはいけないことをよく理解して実行しましょう。

必要な原因究明・改善策

必要な原因究明と改善策 安静期間中は完全休養するのではなく、患部以外のトレーニングを継続します。また、疲労骨折を生じた原因(表1)を調べ、それに対して改善を図ることも重要です。
再発防止策であると同時にスポーツパフォーマンスの向上につながります。疲労骨折は、中途半端な安静や対策では再発しやすいので、「しっかりと直そう!」という心構えが大切です。

2008年(平成20年)7月25日 金曜日 第45号 8面より

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