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医療講演・メディア記事

ドクターになったサッカー少年03

文:大沼 寧 山形徳洲会病院 整形外科部長

変わりつつあるケガや故障の処置法

今回はケガや故障についての話。ケガに対する正しい知識や予防法、応急処置法は、サッカー選手に限らずスポーツ選手なら、誰もが知っておく必要がある。
私は、海外遠征試合にドクターとして帯同していたU17サッカー日本代表の世代にも、自分の体を自分で管理することの重要性を説いていた。「セルフコンディショニング」は、将来どんな環境下でも通用する選手、世界で活躍できる選手となるためには欠かせない。
またスポーツ選手でなくても、適切な処置法は日常生活でのケガを早く治し回復を助けるため、知っておくべきだろう。

傷口は、〝消毒しない〟〝乾燥させない〟が常識

ケガや故障の処置法も、昔の常識とは変わってきた。たとえばサッカーに付きものの擦り傷で、入浴時や消毒の際に痛みを我慢した経験をお持ちの方は多いはずだ。しかし最近では擦り傷が生じた時は、直ちに土や汚れを流水でよく洗い流し、傷口を透明なシールで覆う。なぜなら傷は乾燥させないほうが早く治り、傷口が衣服などで擦れて痛むこともない。そのまま入浴もできるからだ。
傷口を・消毒しない・、・乾燥させない・ことは、今では常識となっている。消毒しないのは、傷の治療に活躍する皮膚の常在菌や白血球など、さまざまな細胞を損傷させないためだ。そして傷口を乾燥させないのは、傷の部分に滲出した液の中に表皮の元になる細胞を元気にする成分が入っていることによる。
傷が深いケースや汚れがひどい時には、病院で処置してもらうほうがいい。だが、異物がなくなればほとんどの場合は消毒をしなくても、化膿せずに治りも早いようだ。治療に使うシールは、薬局などでも購入できる。
この治療法は擦り傷だけでなく火傷や切り傷にも有効なので、興味がある方は正しい方法を一度病院で習うとよいだろう。

2006年(平成18年)7月17日 No.527 5面より