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医療講演・メディア記事

ドクターになったサッカー少年04

文:大沼 寧 山形徳洲会病院 整形外科部長

〝ゴールデンエイジ〟が将来を決める

日本では、子どもたちのサッカー人口が増加。優秀な選手が早くから発掘され、エリート教育がなされるようになった。しかし、サッカーの技術を向上させるために、サッカーだけをやらせることには賛成できない。
最近、ユース世代の日本代表選手の中に、泳げない者やボールをうまく投げられない者がいる。サッカーだけをやってきた弊害で、身体の使い方に応用が効かないのだ。 8~12歳の年代は神経系が著しく発達し、あらゆる物事を短期間でマスターできる〝ゴールデンエイジ〟と呼ばれる年代。
スポーツ選手に限らず、さまざまなスキルを体得するのに好都合なこの時期に、身体を動かすのは重要なことだ。それに、いろいろなスポーツを体験すれば、世界に通用するスポーツ選手の下地づくりにもなり得る。

サッカー選手の輸入大国から輸出大国への遠い道程

今年のドイツ・W杯で、日本代表は予選リーグで敗退。前回は自国開催の大きなアドバンテージでベスト16入りを果たせたが、これが今の日本サッカーの実力だろう。世界のサッカー情勢から判断すれば妥当な結果だったが、多くの日本人は甘い期待を掛けていたために失望してしまった。サッカーの盛んなヨーロッパから離れた日本では、客観的に自国のレベルが把握されていなかった。
ヨーロッパでの選手生活が長い中田英寿選手だけが危機感を抱き、他の選手とそれを共有できなかったようにも見える。

4年後のW杯予選には、ヨーロッパのトップリーグに多くの選手を輩出して、今や〝世界のレベル〟を謳うオーストラリアもアジア枠に加わり、日本の本大会出場は危ぶまれている。
日本サッカー協会が、オシム日本代表監督の持つ危機感をどれだけ真剣に捉えて行動するかに、命運はかかっている。
日本で育った選手でも、ユースの年代から世界で活躍する時代が到来した。国内だけでなく、多くの日本選手が世界で活躍して、サッカー選手の輸入大国から輸出大国になって初めて、W杯を手にすることができるだろう。遠い道程の始まりだ。

2006年(平成18年)9月11日 No.535 5面より

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