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医療講演・メディア記事

ドクターになったサッカー少年05(最終回)

文:大沼 寧 山形徳洲会病院 整形外科部長

無理せず楽しく体を動かすのがスポーツ

前回は、神経系が著しく発達しさまざまなスキルを体得するのに好都合な幼少期に、体を動かすことの重要性を述べた。今回は、運動に対する皆さんの先入観を変える話をしたい。
一口に〝スポーツ〟と言っても競技、レクリエーション、健康づくりなどのスポーツがあり当然これらは同じものではない。多くの方が、いろいろな目的でさまざまなスポーツをしているが、体育の授業や競技スポーツのイメージからなのか、〝スポーツ=頑張る〟と思われていないだろうか?

しかし、健康づくりのスポーツは〝無理せず楽しく体を動かすこと〟が秘訣だ。健康づくりには、良い食生活と同じように良い運動習慣を〝継続〟させなければ効果がない。
一大決心してスポーツクラブに入会。「よし、頑張るぞ~」と思っている時点で、無理がある。皆さんにも同じ経験があるかもしれないが、相当強い意志がなければとても続かない。
運動が好きで得意なスポーツクラブのインストラクターに、「一緒に頑張りましょう!」などと言われても、運動が嫌いな方や苦手な方、生活習慣病に陥りやすいような人は、なかなか共感できないものだ。今、民間のスポーツクラブでは、毎年会員の大半が入れ替わると言われている。
運動の効果は、止めてから数週間で消えてしまう。健康のために運動するのなら、一時的では意味がない。私が知っている方で、85歳を超えた元気なおばあさんがいる。運動はしていないが、一日中家の中を歩き回って家事をしているという。
この日々の生活で体を動かす習慣を持つことに、実は健康づくりの答えがある。

頑張らずに楽しく〝歩く〟

頑張らなくても、すぐに始められる「ウォーキング」。歩くことさえ億劫に感じていたとしたら、生活習慣病への第一歩だ。ご夫婦やお友達同士で仲良く散歩をしたり、寄り道する楽しみを見付けたりすることから始めてもいい。足に合った靴を選び、歩くフォームを研究するのもいいだろう。
意識して、エレベーターを使わずに階段を使うだけでも効果はある。歩くことにも、継続するためにいろいろな工夫をすることが大切だ。
基本的な運動である〝歩く〟ことを続けていると、体には変化が起きてくる。つらく感じた階段昇降も数週間で楽になり、足の運びも軽やかになる。運動の効果を実感することで、体を動かすことが億劫でなくなり、楽しみへと変わっていくのだ。
運動をするのに「大変だ」、「頑張らなくては」という気持ちでは、長続きしない。一時のハードな運動よりも、一生を通じて体を動かす習慣のほうが、生活習慣病の予防や治療になる。
今からでも、自分のペースで運動を始めてはどうだろうか。

2006年(平成18年)10月9日 No.539 5面より