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医療講演・メディア記事

なるほど健康講座08「膝の話(2)」

大沼 寧 山形徳洲会病院 整形外科部長

立ち上がったり、歩いたりした時に膝が痛み出す――こんな症状の多くは「変形性膝関節症」です。これが関節軟骨の磨耗から生じる病気だということは前回にお話しました。

関節修復能力低い膝

関節軟骨は血管やリンパ管、それに神経を欠く組織で、主として関節液からの栄養だけに頼っているため、自己修復能力がとても低い組織です。
この関節軟骨の再生、修復については現在、世界中の関心が集まっており、軟骨細胞の培養など様々な研究がなされています。

軟骨の再生・修復が脚光

軟骨がすり減って骨と骨がぶつかり合う ひと昔前は、関節痛や神経痛などに対しては湿布などを対処的に痛みを和らげるというのが消費者のイメージでしたが、最近になって注目を集めているのが「ヒアルロン酸」「グルコサミン」「コンドロイチン」といった成分を活用し、軟骨そのものを再生・修復しようという方法です。「ヒアルロン酸」「グルコサミン」「コンドロイチン」はいずれも軟骨を構成する基質のひとつなのです。

このうち「ヒアルロン酸」は関節内注射療法として有効性が基礎的にも臨床的にも実証され、広く使用されています。症状を改善する効果は緩やかですが、副作用が少ないことから変形性膝関節症の治療のうえで「大腿四頭筋訓練」とともに中心的な治療になっています。

グルコサミンとコンドロイチン

でも、いくら有効と判っていても「注射は苦手」という方も多いことでしょう。そこで「グルコサミン」「コンドロイチン」の内服が脚光を浴び、これらの成分を使った大衆薬が研究データによる有効性を伴ってこの3年で2倍に急増するというブームを巻き起こしています。

研究データには誇張も

ただ最近になって、これらの研究データの信ぴょう性を検証してみようという機運も高まっています。ある検証結果によると、研究の質が低レベルだったり、企業援助のもとに行なわれている研究も少なくなく、研究の結果は誇張されている傾向があることがわかりました。
現時点で「膝の痛みにグルコサミンやコンドロイチンは『本当』に効くの?」と問われても、「わかりません」というのが実情です。「効く」と答えるには今後、さらに質の高い研究が必要とされているのです。
次回は、「膝の水を抜くとクセになるの?」といった素朴な疑問についてお答えします。

2007年(平成19年)12月14日 金曜日 第30号 8面より

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