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医療講演・メディア記事

なるほど健康講座14「足関節ねんざ(2)」

大沼 寧 山形徳洲会病院 整形外科部長

前回ではケガからの早期復帰のカギRICE処置について説明しました。今号ではRICE処置後の次のステップについてお話しましょう。
足首のねんざ、肉離れ、突き指などのケガをすると靭帯(じんたい)、筋肉、関節などの組織に損傷が加わります。この組織損傷が修復されるには軽症でも2~3週間かかるのが一般的です。
この組織の修復過程に合わせてトレーニングを進めていくことが重要なのです。損傷部位の組織修復を妨げることなく、まずは健常な部位のトレーニングから開始します。

損傷部位の機能改善

次に損傷部位の回復に合わせて、ケガによって低下した機能の改善に取り組みます。低下する機能としては①関節の可動範囲の制限②関節内部にある感覚センサーの機能低下③筋肉や腱の柔軟性低下④筋力低下――などが挙げられます。これらの低下した機能の正常化を段階的に図ることが大切です。
前回と同様、スポーツ傷害の代表的なケガである足関節ねんざを例にとり、このステップについて詳しく説明しましょう。(図1参照)

足関節ねんざの改善ステップ

改善ステップに意識を持って

トレーニングに参加するようになったら、無理をしがちな対人プレーを除いて部分合流し、その上で、段階的に完全復帰を目指します。足関節捻挫であっても、回復を自然に任せてしまっては、改善が不十分になることもあります。完全回復のためには、意識を持って機能改善に取り組むことが重要です。

あせらず、「チャンス」と考えて

早期に安全に競技復帰を果たすためには、組織修復に合わせた段階的なステップが必要なことをご理解いただけたでしょうか? 安静にすべき時期に、あせりから無謀なトレーニングをしてしまった結果、かえって復帰が遅れてしまうこともあります。
安静期間といえども完全休養ではなく、鍛えるべきところはたくさんあります。イメージトレーニングなどは受傷直後からもできますよね。普段できない特別なトレーニングにあてる良い機会と考えましょう。
ケガを契機に、ステップダウンするどころか、むしろ肉体的にも精神的にもステップアップしてスポーツフィールドに戻っていく選手もいるのです。

2008年(平成20年)6月27日 金曜日 第43号 8面より

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